生き方・働き方を考えてみよう!インタビュー:case9 武藤ゆうきさん


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「パパだいすき!」
子どもがなつく育児と働き方

 「幸せな生活」を追い求めて、行き着いたのが公務員としての働き方でした。私の理想とする生活は、妻や子どもがいる家庭を中心に生きること。

 子どもが生まれて育休もとり育児参加もできる限りしてきました。

 また、父親の輪を広げる活動としてパパのためのサークルも始め、父親の育児参加を推めることにやりがいを感じています。

 育児と仕事の両立の難しさは、仕事をする親であれば男女関係なく感じるものだと思います。

 でも、母親だけが息苦しさを感じるのだけではなく、父親である私自身も葛藤していくことで、パートナーとして対等に妻との関係を築くことができるし、子どもにとって「頼れるお父さん」であることができ、その中で自分自身が幸せな生活を実感できるのだと思います。

武藤さんのライフチャート

Q.家族構成を教えてください。

A.奥さん、長女5歳、長男3歳の4人家族です。

Q:ご結婚する前後、お子さんが生まれてから、そして今の仕事の経歴を教えてください。

A.仕事はずっと公務員です。ただ、結婚してから、子どもができ、現在に至るまで業務内容は変わっています。

Q.公務員になったのはなぜですか?

A.学生の頃から、幸せな生活をしたいと思っていました。このふんわりとした自分の理想の「幸せな生活」は小・中学生時代からあったかなと思います。当時から漫画が好きで色々読んでいて、その中で自分の幸せのイメージが構築されていきました。ただ、より具体的に「幸せな生活」を求めるようになったのは高校3年生のときです。父親のリストラで親の夫婦仲が少し悪くなったのを見て、より自分の幸せについて考えるようになり、安定した公務員という職業が現実的に選択肢にはいりました。

「幸せな生活」のイメージとしては、一軒家に大きな庭があって、ゴールデンレトリーバーがいて子どもが遊んでる。そこから、転勤なし、福利厚生も良くて…というところから、地方公務員を選んだという感じです。

Q:公務員の仕事を選択され自分の理想の家庭を作る上で課題や葛藤はありましたか?

A:私は、育児ももちろん積極的に取り組むのが父親の役割だと思っているので、当然の流れで1人目の時に育休を取りました。育休を取るときには、何の課題も無かったのですが、取った後の、今の方が課題があります。自分が育休を取ったことで、もちろん後輩も育休取りたいと言われたらOK出すのが当然ですが、そうすると自ずと私の仕事の負担が増えてしまいます。そのため、仕事が遅くまでかかる日もでてくるようになり、家に帰って子どもと過ごす時間が減ってきたと言う実感はあります。

ただ、中途半端に仕事が遅くなってしまう日や、それとは逆に仕事が早く終わる日もあるので、「今日は仕事が終わるのが遅い日」「今日は仕事を早く終わらせる日」と言うように自分で決めてメリハリをつけて働くようにし、家族との時間も仕事の時間もしっかり明確にするようになりました。

Q:パートナー(妻)は武藤さんの生き方・働き方をどう感じていらっしゃると思いますか?

A:妻は、今の私の生活スタイルや働き方を認めてくれています。育児・家事もある程度対等にできているかな?という感覚はあります。ただ、最近は、朝の保育園の送りや、保育園の細かいことは妻に任せてしまっているので、完全にイーブンかと言われるとそうかな?と疑問に感じる部分があります。でも、子どもの事に関しては対等に話ができているかなと思います。

Q.地域活動も精力的にされているとお聞きしています。始めるきっかけを教えてください。

A.1人目が産まれた時に、子育て支援センターに行ったら、乳児を連れているママも少ないし、パパはもっといなくて、自分自身「パパもきていいのかな?」とアウェイに感じました。そこで、ママだけじゃなくて、パパの居場所も作りたいと思ったのですが、パパサークルを作るのにも「5人集まらないと作れない」と言われて、パパの仲間を増やしたいとNPO法人よしかわ子育てネットワーク代表の中島さんに相談したところ、子育て支援センターで定期的に「パパが支援センターに子どもと遊びにくる日を作ってはどうか」という話になり、「ゼロパパ」を立ち上げました。

その後、パパのためのサークルを作ることができ、現在は30人くらいサークルに参加してくれているパパがいて、いちご狩り、クリスマス会などをやっています。パパサークルを作って良かったところは、ママサークルだとパパは来ないけど、パパサークルだとママも一緒に来るので、家族ぐるみで仲良くなることができる点です。

Q.サークル活動について奥様はどのような反応をされていますか?

A.正直言うと、前向きでも否定的でも無いです。「やりたいなら、やったらいいんじゃない?」という感じ。ただ、やってみたら、妻の協力が無いと出来ないこともあることがわかりました。また、吉川のサークル活動以外にも、横浜の方で『男性育児の子育て講座』の講師をやらせてもらっているので、そこには子どもを連れてはいけないので、妻に協力してもらっています。

Q.今、自分の生き方や働き方に満足されていますか?

A.全体としては幸せです。妻とも子どもとも、良好な関係を築くことができていると思います。寝かしつけの時は子ども2人に親1人で寝かしつけをするのですが、子ども2人が私と喜んで寝てくれるので子どもも私に懐いてくれていると実感しています。私が寝かしつけをする日は、妻は夜自分の時間を持てていると思うので、妻と協力してお互いに助け合いながら子育てをしている感覚を味わうことができています。

また、子どもが大きくなるにつれて、働き方とのバランスから、育児への満足度が緩やかに下がってしまっていると感じています。子どもが小さい時は自分がいないと生きていけないっていう意識だったので、日々子育てを中心に生活をし育児に対する満足感はありました。子どもが産まれてすぐの時は、育児に対しての意識を10段階で表すと8.9くらいの意識で育児に意識を向けていましたが、今は5ぐらいかなと思います。ここからまた育児への意識をあげることで、育児の満足度もあげていきたいと思っています。

また、働き方としては、仕事のやりがいはあるので一定の満足度はあります。具体的には、職場で周りから認めてもらっている自覚があること、ある程度自分に裁量・決定権があること。この2つが理由として大きいと思います。


ただ、やはり不満もありまして、親あるあるですが、仕事と育児の両立は永遠の課題かなと思います。毎日定時で帰って育児するのが理想ですが、正直、職場の人数的にもギリギリで理想どおりが難しい状況です。

現在は政策立案という新しいことを考える担当なので、本気でやると仕事は無限にあって、多分ほとんど家に帰れなくなります。独り身だったらずっと残業してると思います。なので100%満足かと言われると80%満足と言ったところですかね。それでも、残業に関して妻の理解があるというところは大きなポイントです。

Q.今後お子さんとはどのような関係を築いていきたいですか?

A.今までは、子どもに何かしてあげたいって気持ちがあったが、子どもが大きくなってきてるので、子どもに何かをするのではなく子どもと一緒に何かしていきたいと思っています。子どもの発想は面白いなと思うので、子どもの発想を楽しめるような何かを見つけていきたいと思っています。

Q.生き方や働き方に悩んでいる方へメッセージをお願いします。

A.子どもがいると、自分の生き方・働き方を変えるのって難しいですよね。親という責任がある以上、職場環境や収入、育児の状況、夫婦関係などによって現実的な選択肢なんてかなり少ない。そんな状況で諦めないために必要なのは勇気と覚悟、そしてリスクの最小化だと思います。

私も育休を取りたいと言うときは勇気が必要でしたし、反論されても戦う覚悟が必要でした。そして、育休を取るときのリスク(職場の理解が得られるか)は、不在期間のマニュアルを作成し、育休中も月に一度打ち合わせとして職場に顔を出すことで対応しました。

もし、悩んでいるなら、まずはリスクを洗いだし、それを最小化するために何をすべきかを考えてみるといいと思います。リスクを最小化すると必要な勇気や覚悟も少なくて済みますよ。

やらない後悔よりやる後悔。たった一度の人生、どうせなら楽しみましょう。

Q:また、子どもとの関わりをもっと増やしたいと思っているけど、物理的に厳しいなと感じてる男性にメッセージをお願いします

A:男性が育児を積極的にする事は、絶対に間違ってないと思っています。パパが育児に積極的に参加すると妻と揉めるとか、職場で問題が増えるとかもあると思いますが、最終的に家族と自分の幸せを考えると、パパも家事育児を積極的にするのは、重要なんだなと思います。育児を積極的にやってる男性に対しては、そのまま頑張ってと伝えたい。

また、子どもとの関わりを増やしたいと思っているのであれば、パパ自身の育児に対しての想いが強ければ可能だと思います。どれだけ育児を本気でやるか?仕事や趣味と比べたときにどれだけやる気があるか。仕事は、自分がいなくても誰かがやってくれるけど、子どもは小さい時は、もし妻がいない状況を考えると自分しかいないので、覚悟を持って取り組んでいくのが重要かなと思います。

男性相手にいつも言ってるのが、育休自体は、女性にとっては義務なのに対して男性は権利という時点で、平等では無いなと思ってます。育休取る取らないは、夫婦で話した上で決めればいいと思いますが、ちゃんとお互い育休を取るという前提で平等に育児に向き合ってほしいなと思います。

私自身も父親として子どもが小さいうちから、「育児は男性もするんだよ」って言うのをみせていかないといけないなと思います。